陶磁器生産量日本一を誇る土岐市で、美濃焼の歴史文化を発信する市立博物館の建て替え計画が、設計を再びやり直す事態になっている。供用開始も2029年度予定と約1年延びた。39億円以上という事業費の膨大さに市民側から疑問が呈されたためだが、建築費は全国的に高騰を続ける。計画の後ろ倒しで総事業費も増えるような悪循環を懸念する声も聞こえてくる。
「新博物館は本当に必要なのか」。昨年10月、市内6カ所で行われた議会報告会で市民から疑問が噴出した。新博物館とは、老朽化で休館中の「市美濃陶磁歴史館」(同市泉町久尻)に代わり、同じ場所で建て替える施設を指す。2期目も後半に差しかかった加藤淳司市長肝いりの事業として22年度に基本計画を策定。24年3月に完成した基本設計によると、タイル張りの展示棟、収蔵庫棟、ガラス張り大屋根を備えた交流棟など、建築面積は3090平方メートルと旧館とほぼ同じながら機能性を充実させた。
だが、市は練り直しを決める。...