音は聞き取れるが、脳で言語として認識ができない障害「聞き取り困難症(LiD=リッド)」を巡り、改正障害者差別解消法が義務付ける「合理的配慮」を拒否された経験を当事者の2割が持つことが7日、共同通信の調査で分かった。職場や学校で、聞き取りを助けるイヤホン使用を拒まれたといったケースがあった。当事者団体などを通じ147人がアンケートに応じた。
同法が配慮義務を国や自治体から民間事業者にも拡大した昨年4月以降に拒否された経験を調べた。大阪公立大などのチームによるとLiDの当事者は約120万人に上る可能性もあるが、診断の手引は国内で同3月に発表されたばかり。「認知度が低い」などの声が上がっており、解消への課題と言えそうだ。
LiDは難聴とは異なり、一般的な聴力検査では異常が見つからない。言葉が周囲の音と混ざったり、一部だけ聞こえなかったりする。治療法はなく、文字起こしアプリや雑音を消す機能があるイヤホンなどで、聞き取りを補うことが多い。