記者会見する米環境保護局のゼルディン長官=11日、ワシントン(共同)

 【ワシントン共同】トランプ米政権は11日、火力発電所に対する温室効果ガスの排出規制を撤廃する方針を明らかにした。意見公募の後、正式決定する。世界2位の温室ガス排出国である米国の規制撤廃が決まれば、温暖化防止に向けた国際目標の実現が一段と難しくなりそうだ。

 民主党政権時代に定めた環境対策強化を後退させる対応で、水銀など有害物質の排出規制も緩和する。記者会見した環境保護局(EPA)のゼルディン長官は「歴史的な日だ。環境保護と経済成長の両立を選択した」と強調した。

 規制撤廃により、電力部門は今後20年間で190億ドル(約2兆7千億円)の規制対応コストを削減できるとの試算も示した。科学者らでつくる米団体「憂慮する科学者同盟」は「化石燃料企業の利益を増やすために公共の利益を犠牲にしている」と批判した。

 規制撤廃には、人工知能(AI)の普及に伴って電力需要の増加が見込まれる中、老朽化した火力発電所の廃止を回避する狙いがある。