金融庁は21日、悪質な株のインサイダー取引や相場操縦に対する課徴金を引き上げる方向で検討に入った。東京証券取引所の元社員によるインサイダー取引など金融界で相次いだ不祥事を重くみて、金銭的な制裁である課徴金を増額して違反行為への抑止力を高める。早ければ2026年にも、課徴金を規定する金融商品取引法の改正案を国会に提出する。08年以来の抜本改正になる見通しだ。
近く、首相の諮問機関である金融審議会に法改正を諮問する。現在、上場企業の「重要事実」を公表前に入手し、それに基づいて株を売買するインサイダー取引には、不正に得た利益とほぼ同額の課徴金を科している。金融庁は、課徴金の算定方法を見直すことで、より多くの金額を科せられるようにする考えだ。
上場企業の株式を5%超保有したときに提出を義務付けている大量保有報告書に虚偽の記載をしたり、提出期限を守らなかったりした際の課徴金も引き上げる。制度の詳細は審議会のメンバーの有識者らが議論する。