難病患者の家族は18日、市販薬と効能やリスクが似た「OTC類似薬」の公的医療保険適用を継続するよう求める署名約8万5千人分を厚生労働省に提出した。政府は保険適用見直しを検討する方針を示しており、適用外となれば1〜3割で済んでいる患者の自己負担が大幅に増える。家族は「病気を抱えて必死に生活する人の暮らしを想像してほしい」と訴えた。
難病の大藤龍之助さん(22)がインターネットで署名を呼びかけた。魚のうろこのように皮膚が硬くなり、はがれ落ちる「魚鱗癬」を生まれつき抱える。肌の塗り薬ヒルドイド(50グラム入り)を毎月30本以上処方されるなど3種類の薬を使っている。適用外となれば、月2千〜3千円の医療費が薬代だけで9万円を超える見込み。署名を提出した母朋子さん(47)は「薬は息子の日常生活に欠かせず、不安しかない」と話した。
署名には、アトピー性皮膚炎やぜんそく、腎不全、がんなどの患者も応じた。日本医師会などは受診控えが広がり、健康被害が生じる恐れがあると懸念している。