東京・市谷の防衛省

 中谷元・防衛相は19日、交戦が激化するイスラエルとイランからの邦人退避に備え、航空自衛隊の輸送機を自衛隊の活動拠点があるアフリカ東部ジブチに派遣するよう命じた。防衛省で記者団に明らかにした。外務省は、これとは別にイスラエル、イラン両国からの退避を希望する邦人らを19日にもバスで隣国に移動させる方向で調整している。

 防衛省によると、派遣するのは空自のC2輸送機2機で、空自と陸上自衛隊の隊員計約120人が乗り込む。準備が整い次第、出発し、ジブチで待機する。先遣隊約10人は既に出発した。指揮官は統合作戦司令官が務める。

 岩屋毅外相が同日、在外邦人の輸送手続きを定めた自衛隊法の規定に基づき、中谷氏に派遣準備を要請した。

 林芳正官房長官は記者会見で「今後も状況の推移をフォローしつつ、さらなる退避支援を含め邦人保護に万全を期したい」と述べた。

 邦人退避を巡っては、昨年10月にイスラエルと親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘激化を受け、レバノンに空自機を派遣。邦人ら計16人を近隣のヨルダンに運んだ例などがある。