【カイロ共同】世界はわれわれの苦しみを忘れてしまう―。イスラエルとイランの交戦が激化する中、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザで苛烈な攻撃を続け、連日多くの犠牲者が出ている。支援物資の搬入制限で人道危機は悪化の一途をたどるが、国際メディアの関心は一気にイラン情勢に移行。ガザ住民の間に忘却への不安が広がる。
「イランへの攻撃でガザの虐殺に対する世界の注目をそらし、イスラエルの利益になった」。ガザ南部ハンユニスで避難生活を送るムハンマドさん(27)が電話取材に訴えた。「米国とイスラエルが計画するガザ住民の追放計画も、このすきに行われるのではないか」。そんな恐れさえ抱く。
ガザでは、米国とイスラエル主導で設立した「ガザ人道財団」が5月下旬から食料などの物資配給を始めたが、配給拠点に押し寄せる住民をイスラエル軍が相次いで銃撃、約400人が犠牲となっている。
2歳と4歳の子どもを抱えて北部ガザ市に避難したハレドさん(36)は「物資の搬入拡大を訴えていた世界の国は今、イランのことで頭がいっぱいだ」と語った。