フィリピン・ルソン島沖の南シナ海で、フィリピン海軍と合同軍事演習を行う海自の護衛艦「たかなみ」=14日(共同)

 海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が今月12日に台湾海峡を通過していたことが分かった。複数の外交筋が19日明らかにした。台湾への軍事的圧力を強める中国をけん制する狙い。中国軍戦闘機による海自哨戒機への接近事案が7、8両日に発生した直後で、日中間の緊張が高まる懸念がある。たかなみは南シナ海に抜け、フィリピン海軍との合同軍事演習を実施した。海自艦の台湾海峡通過が判明するのは昨年9月、今年2月に続き3例目。

 中国は台湾を不可分の自国領土と位置付ける。日本政府は従来、中国への刺激を避けるため、海自艦の台湾海峡通過を避けてきたが、覇権主義的行動を強める中国に断固とした行動を取るべきだと判断。台湾海峡を航行可能な「国際水域」とみなし、軍艦を通過させる米国などと協調する対応に転換した。

 日中外交筋によると、たかなみは12日、東シナ海から台湾海峡に入り、10時間以上かけて南方向に航行した。通過後、フィリピンのルソン島沖に向かった。中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区は、海峡通過の全航程を追跡、監視していたという。