福島県大熊町大川原地区で飛び交うホタル。満天の星の下、緑色の光跡を描いていた=19日夜(長時間露光の画像を比較明合成)

 東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町の郊外、大川原地区(2019年4月に避難指示解除)で、満天の星と、緑の光を放つホタルの共演が見られた。連日の暑さで羽化が進んだとみられ、暗闇の中を数十匹がゆらゆらと飛び回っていた。

 19日夜、原発から8キロに位置する農業佐藤右吉さん(86)方の敷地を流れる小川の周りで、例年より1週間ほど早く飛び始めた。

 原発事故後、放射線量を下げるための除染で草が刈られ、表土が剥ぎ取られてホタルは激減した。地区への立ち入り規制が緩和された12年以降、佐藤さんが小川の環境改善に取り組み、数は回復した。

 佐藤さんは、避難解除後、敷地内にあずまやをつくり見学者を受け入れている。「震災前は町全域で見られた夏の風物詩が戻ってきた。大熊町に関心を持ってもらうきっかけになってほしい」と話している。

 ゲンジボタルは7月いっぱい、ヘイケボタルは8月まで見られそうだ。