神戸市の理化学研究所(理研)計算科学研究センターで24日、新たに設置したIBMの量子コンピューターが本格稼働し、スーパーコンピューター「富岳」と連携させる運用が始まった。量子―スパコン連携で計算・処理能力がさらに高度化し、新薬や新素材開発など幅広く活用が期待されている。
量子コンピューターは、光や電子といった量子と呼ばれる極小の粒子の性質を利用した次世代の計算機で、「スパコンで100年かかる計算が1分でできる」性能を持つという。物質の性質や化学反応の仕組みを分子レベルで解析するために有効な「量子化学計算」がさまざまな分野で求められる中、開発競争が激化している。
一度に処理できる情報量が飛躍的に増える一方、外部のノイズなどの影響で計算エラーが生じやすいのが弱点とされ、今回は富岳が計算結果を補正する「ハイブリッド型」で克服を図っている。
理研はこれまでに、スパコンだけでは正確な解が得られない量子化学問題で一定の成果が得られたと説明した。