バショウカジキ(手前)のエラを出入りするコバンザメ「ヒシコバン」(矢印)(アクアマリンふくしま提供、画像の一部が加工されています)

 強者のおこぼれにあずかる代名詞ともなっているコバンザメは、実は相手に「お返し」をしている―。福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」がこんな研究成果を発表した。飼育記録から、コバンザメが隠れる場所を提供する魚に付いた寄生虫を取り除く「掃除屋」となっている可能性が高いことが判明。同館は「一方的に恩恵を受けているという悪いイメージを払拭できるのでは」と期待する。

 同館は2022年、非常に困難とされるバショウカジキ(体長約3メートル)の飼育で世界最長となる84日間の記録を達成した。その間、バショウカジキのエラを出入りするコバンザメの一種「ヒシコバン」を発見し、動画などで行動を観察した。

 コバンザメはバショウカジキのエラに隠れて外敵から身を守ったり、こぼれた餌を食べたりする一方、ヒレの付け根に頭を押し込み、体表にいる寄生虫を食べる様子を見せた。バショウカジキもコバンザメの泳ぎに合わせて速度を落とし、エラぶたを開けて出入りしやすくしていた。