運営する音楽教室でフリーランスの講師らに体験レッスンを無償でさせ、取引条件を明示しなかったことなどがフリーランス法違反に当たるとして、公正取引委員会は25日、楽器販売大手の島村楽器(東京)に再発防止を求め勧告した。無償レッスンは同法が禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」に該当と判断。これを根拠とするのは初めてで、勧告は3社目。
公取委の認定事実では、同社は昨年11月〜今年2月、業務委託するフリーランス101人のうち、11人に体験レッスンを無償で計19回させた。また、97人に報酬額や支払期日といった取引条件を書面やメールで明示せず、86人の報酬を期日までに支払わなかった。
関係者によると、講師を委託する際の「覚書」には、体験レッスンについて「ご自分の生徒さんを集める活動の一つとして協力をお願いしており、実施に際して報酬は発生しません」と記載。レッスン相手が自分の生徒になる確約はなかった。
同社は全国に約180店を展開し、年間売上高は約500億円。フリーランスの講師約1800人と取引がある。