【チチハル共同】旧日本軍が中国各地に遺棄した毒ガス兵器による被害を調査するため、NPO法人「日中未来平和基金」のメンバーは24〜25日、中国黒竜江省チチハル市を訪問した。中国人被害者は基金の調査に後遺症の苦しさや日常生活の窮状を証言した。
基金のメンバーが24日に面会した60代の中国人男性は、2003年に同市で廃品回収の仕事をしていた際に遺棄兵器の毒ガスを浴びる事故に遭ったと説明。肌の変色や視力の低下を訴え「食欲が出ない。仕事ができず、収入もない」と話した。
日本人の医師と看護師が男性の血圧や体重の増減を確認し、事故後から続く症状や生活状況を聞き取った。男性は日本の病院で精密検査を受ける意向を示した。
メンバーの南典男弁護士によると、新型コロナウイルスの流行で医療従事者の訪中が難しくなり、現地での被害者の検診や医療支援といった活動が停滞。コロナ禍が収束したため、「本格的な活動再開に向けて準備を進めている」という。
基金は日中両国の民間団体が16年、被害者らへの医療提供などを目的に設立した。