身体の性の発達が典型的ではない「性分化疾患」の当事者でプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)のグループ会社元社員の女性が25日、社内研修資料に当事者を侮辱するような表現があると主張したところ、懲戒処分を受けたとして、同社側に処分取り消しと約1100万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
原告は土多恵子さん(56)で、生まれつき子宮と膣がない。訴状によると、2023年、性分化疾患を「第3の性」などと紹介する資料の記述は誤りだと指摘し、訂正と全社員への周知を求めた。会社側が応じなかったため、交流サイト(SNS)に資料の内容を投稿するなどして抗議すると、けん責処分を受けたという。土さんは懲戒処分後の今年5月に同社を退職した。
提訴後に東京都内で記者会見した土さんは、身体的特徴だけで女性と分類されなかったことはショックだったとして「ひとまとめにするのではなく、一人一人の声を聞いてほしい」と訴えた。
P&Gは取材に「訴状が届いていないので、コメントできかねる」としている。