日枝久氏

 フジ・メディア・ホールディングスの日枝久取締役相談役(87)が25日、退任した。フジの経営中枢に約40年君臨し、企業風土や人事に多大な影響を及ぼしてきた日枝氏には一連の問題発覚後、見解や説明を求める声が社内外から相次いだ。だが25日の最後の株主総会にも姿を見せず、無言のままでの退場となった。

 日枝氏は北海道文化放送、東海テレビ放送、関西テレビ放送、テレビ西日本といった系列局や産経新聞社などフジサンケイグループの取締役も退き、日本美術協会会長や彫刻の森芸術文化財団理事長などの役職が残る。

 1980年に42歳で編成局長になり、キャッチコピー「楽しくなければテレビじゃない」の下でフジ黄金期をけん引した。83年に取締役、88年に初の生え抜き社長に就き、2001年に会長に。旧ライブドアとのニッポン放送の株式争奪戦では矢面に立ち注目された。

 一連の問題で1月にフジの当時の港浩一社長らが辞任を表明した記者会見では日枝氏が出席しなかったことに質問が相次ぎ、社員から憤りの声が噴出した。