生活保護受給中に通院に使うための車を保有していた身体障害者の女性(73)が、居住する三重県鈴鹿市に車を手放すよう促され、廃車費用の見積書を提出させる指導に応じなかったことを理由に保護費の支給を停止されたのは違法だとして、処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟で、名古屋高裁は26日、一審に続いて処分を取り消し、市に賠償を命じた。
昨年9月の一審津地裁判決は、女性は車が無価値だと示す見積書をすでに提出していたのに、市が保有を認めない前提で追加の見積書の提出を求めたのは違法と認定した。指導に従わなかったことを理由に2022年11月に保護費の支給を停止した処分も違法と判断。市に慰謝料など計15万円の支払いを命じた。
鈴鹿市は別の訴訟でも、身体障害者の車利用を巡って生活保護を停止したことが違法と認定され、今年5月に最高裁で敗訴が確定している。