職務で知った未公表の株式公開買い付け(TOB)に関する情報を基にインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法違反罪に問われた三井住友信託銀行の元部長片山肇被告(55)に東京地裁は4日、懲役2年、執行猶予4年、罰金200万円、追徴金約6千万円(求刑懲役2年、罰金200万円、追徴金約6千万円)の判決を言い渡した。

 開発礼子裁判官は「立場を悪用して自らの利益を追求し、金融市場の公正性や健全性を損なった。老後の資金を貯蓄したかったという動機に酌むべき点はない」と指摘。被告が自首し反省の態度を示しているなどとして、懲役刑の執行猶予が相当と判断した。

 判決によると、2022年12月〜24年8月、企業のTOB情報を知り、3銘柄の計2万5900株を約3200万円で買い付けるインサイダー取引をし、約2900万円の不正な利益を得た。

 三井住友信託銀は24年11月、被告を懲戒解雇した。