2020年7月豪雨の犠牲者を悼み、球磨川支流の川内川に流された花=4日午後、熊本県球磨村

 九州5県で災害関連死を含め計79人が犠牲になった2020年7月の豪雨から5年を迎えた4日、熊本県は復旧・復興本部会議を開き、被災した球磨川流域の復旧状況を踏まえ、地域の発展に注力していくことを確認した。流域の自治体では各地で犠牲者を追悼。住民からは人口減少や安心して暮らせる地域社会の維持に不安の声が漏れた。

 本部会議では、木村敬知事が「道路や住宅の復旧が着実に進んでいる」と言及。雇用創出や観光客誘致などを通じた地域の発展に軸足を移す考えを示した。球磨焼酎の海外展開や、地域ゆかりのアニメ「夏目友人帳」を活用した誘客強化などの案が示された。

 球磨村の神照寺では追悼法要が開かれた。参列者は川辺川に菊やカーネーションなどを投げ入れる「花おくり」を行い、犠牲者の鎮魂を祈った。

 被災地では人口減少と高齢化が進む。球磨村で民生委員を務める大原伸司さん(71)は「表面上は復旧が進んだが、高齢者の見守りやコミュニティー維持は思うようには進んでいない」と語った。