3月、私立高校入試を巡り取材に応じる車いすの生徒(手前)と保護者=香川県内

 電動車いすを使う男子生徒の今春の私立高受験に際し、保護者から相談を受けた香川県の所管課が「解決に向け、高校との話し合いが可能」と伝えていなかったことが7日、分かった。生徒は、国が障害者差別解消のために重要だと定める「直接対話」の機会がないまま入学を断られた。県は取材に、対応が不十分だったと認め「必要な情報を提供できず申し訳なかった」としている。

 生徒が通っていた公立中の校長が、自身が窓口になると説明し、私立高と直接やりとりしないよう保護者に求めていたことも判明。「直接話し合っても折り合えるとは思わず、窓口を絞らないと混乱を招く恐れがあると考えた」と話した。

 生徒と保護者は昨年夏、校長を通じて複数の私立高に受け入れ可否を尋ね、いずれの高校も設備や人的態勢から難しいと回答した。保護者が県総務学事課に相談したが進展せず、生徒は私立への進学を断念。公立志望に切り替えて合格した。

 香川県は条例で、障害者からの相談に応じ、必要な助言や情報提供を行うことは県の責務だと規定している。