黄色く「色落ち」したノリ=2023年1月、佐賀市沖の有明海

 海藻のノリに含まれる成分が、肥満や糖尿病、脂肪肝炎、肝がんを予防する可能性のあることがマウスの実験で分かったと、慶応大などのチームが米科学誌「iScience」に発表した。この成分は黒く色づかずに廃棄される「色落ちノリ」に多く含まれるといい、チームは「資源の有効活用につながるかもしれない」としている。

 この成分は「ポルフィラン」。チームは、発がん物質を投与し肝がんを起こしやすくしたマウスに、高脂肪の食事とともにポルフィランを与えた。与えないマウスでは肝臓の平均約15カ所にがんができたが、与えたマウスは平均約1カ所だった。

 ポルフィランを与えたマウスでは、腸内細菌の構成が大きく変化していた。悪玉の腸内細菌によって産生される、毒性の高い胆汁酸も減少していたという。

 チームの渡辺光博慶応大教授は「ノリの主要成分が腸内細菌を改善して悪い胆汁酸を減らし、肝がんや生活習慣病を抑制することが確認できた。胆汁酸の代謝経路を介して病気を予防する、新たな手法になるだろう」と話している。