公益財団法人「新聞通信調査会」は16日、同盟通信社(共同通信社などの前身)の理事会と社員総会の全議事録(1935年12月〜47年3月)、計48回分をデジタル化し、ホームページに公開した。一部は初公開とみられる。戦局が悪化する中で大幅赤字の見通しとなり、政府に「やむを得ざる次第なるが」と助成金を求める判断をした経緯などが記されている。
調査会によると、厚紙の表紙付きでとじられており、調査会の図書館に所蔵されていた。
戦局が悪化していた43年1月開催の第25回理事会では、大幅赤字が必至で、当時の社長が「国家代表通信社としての使命達成上やむを得ざる次第なるが、対敵、対外宣伝戦に要する経費はもっぱら政府において考慮せらるべく努力中なり」と、政府の支援を議論していた。
その後、収支が改善されており、政府との交渉が成立したとみられる。担当者は「政府の交付金の存在は公知の事実だったが、議事録に公然と記載していることはまれと思われていた」と話した。