「センターから逆方向への低く強い打球」と「積極走塁」。中京がプロ注目右腕の大垣北・坪真都を攻略し戦国岐阜の4強に名乗りを上げた。第107回全国高校野球選手権第8日は23日、ぎふしん長良川球場で準々決勝2試合を行い、中京が大垣北に4―1、県岐阜商が多治見工を七回コールドの10―3で下した。県岐阜商も「低い打球」による立ち上がりのビッグイニングが難敵を寄せ付けなかった大きな勝因。観戦に訪れた鍛治舎巧前監督も「集中打が出た初回がすべて、投手力が上がってくれば万全」と新生名門の戦いぶりをたたえた。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
◆盗塁、エンドラン、積極走塁で好投手撃破へ
第2試合はV候補中京が坪をどう攻略するかが最大の焦点だった。ところが、大垣北の先発は背番号10の江口晴彦。坪は全3試合に登板し、372球という8強進出校の中でも飛びぬけて多い球数を投げているだけにコンディションを考慮してベンチスタートだった。ここで、中京藤本貴久監督は、春の大会から封印してきた戦術を繰り出す。
就任1年目の昨夏は、三盗を含めてとにかく盗塁しまくる機動力野球だった。だが、今チームは「走れる選手はいるものの、着実に走者を進める」と、1死からでも一塁に走者が出れば、堅実に送る野球に徹してきた。だが、大垣北を「走れる」と分析。坪攻略に向けた盗塁やエンドランなどの積極走塁を立ち上がりから発揮した。
一回表、先頭の中嶋悠輝が中前打を放つと、2番井之脇陸斗の打席で1ボール1ストライクからの3球目に二盗。井之脇四球後はこの日先発の鈴木悠悟が送ったが、今大会ここまで5打点の頼れる主砲小原輝也が左前打で先制点を挙げた。

三回にも死球出塁した中嶋は3球目に二盗を決め、井之脇犠打、鈴木の右犠飛で2点目を挙げた。...