初めて来日したノーベル賞委員会のフリードネス委員長(40)が25日、東京都内で共同通信の単独インタビューに応じ、広島市と長崎市を訪問して被爆者と交流したことについて「直接証言を聞けて、勇気をもらった」と述べた。委員長は滞在中に両市の原爆資料館を見学。「証言を聞き、写真を見るのは心が痛む」としつつ、被爆者の活動や、受け継ぐ若者を目の当たりにし「『記憶』を平和への力に変えようとする姿に刺激を受けた」と話した。
委員長は、世界の為政者が核使用を脅しに使う現状を「被爆者が築き上げた『核のタブー』が今、脅かされている」と危惧した。昨年の日本原水爆被害者団体協議会(被団協)への平和賞授賞が「一つの警鐘であり、核のタブーを築いてきた人々への敬意でもある」と述べた。さらに「過去80年間、核兵器が戦争で使われなかった事実は、人類にとって偉大な達成だ」とした。
委員長は「全ての国の指導者に核兵器が二度と使われないよう努めてほしい」と強調した。