「もう一度世界戦争が起これば、地球そのものがなくなる」と語る倉田倬治さん=6月、羽島市竹鼻町、倉田さん宅
召集令状の交付を記録した文書

 「敵陣に突っ込んで死ぬのはかっこいいと思っていた」。羽島市の元市議倉田倬治(たくじ)さん(92)は国民学校に通っていた80年前、少年飛行兵を夢見る軍国少年だった。終戦後、月日がたつにつれ「あのときの自分は異常だった」と気付き、自分なりに戦中の記録を調べてきた。世界では米ロを中心に核配備が進み、各地で一触即発の緊張が続く。再び聞こえてくる戦争の足音に「もう一度、世界戦争が起これば、地球そのものがなくなってしまう」と将来を危惧する。

 旧益田郡小坂町(現下呂市)生まれ。当時、男児は兵隊、女児は従軍看護婦に憧れ、学校の先生も「なれ、なれ、なれ」と背中を押した。「何人戦場に送ったかが自慢になる」時代だった。叔父が戦死したという知らせが届いたとき、むせび泣く祖母を見て「国のために死ぬのは名誉なのに、何でだろう」と不思議だった。飛行兵を志したが、...