東京電力福島第1原発の廃炉で最難関とされる溶融核燃料(デブリ)の大規模取り出しで、最初に着手する3号機原子炉建屋での作業の妨げになるとして、東電が隣接する建物を先に解体する工法案をまとめたことが25日、関係者への取材で分かった。建物は高線量の放射性廃棄物を保管する廃棄物処理建屋で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に既に提示した。解体には多くの費用と時間を要すると見込まれ、政府と東電が2041〜51年を目標とする廃炉完了が遅れる可能性がある。
東電は解体せずに取り出す案も示した。機構と東電は29日、工法案の検討結果を公表する。
廃棄物処理建屋(地上2階地下1階建て)は3号機原子炉建屋の北側に接し、デブリの取り出し機器を支持する構台を設置する邪魔になるという。
廃棄物処理建屋にはかつて原子炉の冷却水を浄化するために使った樹脂を貯蔵するタンクが置かれ、解体前には内部の状況調査が必須だ。放射線量が高く解体には慎重さが求められる。建屋内にある廃棄物の保管場所を確保しておく課題もある。