津波が海抜11・3メートルまで遡上した石川県輪島市西部の黒島地区=2024年7月(福岡教育大の岩佐佳哉講師提供)

 昨年の能登半島地震による津波が、石川県輪島市西部の黒島地区で海抜11・3mまで遡上していたとの分析結果を、福岡教育大などの研究チームが27日までに発表した。ビルの4階に届く高さに相当する。同地区は沖合に消波ブロックがなく谷地形のため、津波が局所的に集まったとみている。

 黒島地区を含め、津波が高かった能登半島西岸や北岸は低地が少なく集落が高台にあるため、津波の被害は少なかった。一方、半島東岸では津波が比較的低かったものの、防潮堤や消波ブロックの効果が薄い上、集落が低地にあったことから、津波による建物などの被害が大きかった。

 気象庁の調査では、新潟県上越市で5・9m、石川県能登町で4・7mまで津波が遡上したことが分かっている。

 チームは、国土地理院などが地震直後に撮影した能登半島沿岸6市町の航空写真から、津波による漂着物や堆積物の分布を把握。昨年2月と7月の現地調査で、実際に津波が到達した高さを確認すると、西岸で2・0〜11・3m、北岸で2・5〜6・0m、東部で0・9〜5・2mに及んだ。