iPS細胞からつくった心筋や血管などの細胞を多層化したシート(iHeart Japan提供)

 京都大発再生医療ベンチャー「iHeart Japan(アイハートジャパン)」(京都市)と東京女子医大病院は28日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)からつくった心筋や血管などの細胞を多層化したシートを、重い心臓病の拡張型心筋症の患者に移植する臨床試験(治験)を開始したと発表した。5月に1例目の手術をし、既に退院した。

 iPS細胞から作製した多層シートを人に移植したのは初めて。同社は、安全性や有効性を確認した上で、承認申請をする方針。

 同社によると、健康な人のiPS細胞からつくった心筋や血管などの細胞を混ぜ、シートを作製。これを5層に重ね、直径3・5〜4センチ、厚さ約1ミリの多層シートとした。層の間には生体材料のゼラチン粒子を挟んだ。

 治験では、拡張型心筋症患者の肋骨の間を切開し、心臓の表面に貼り付ける。東京女子医大病院など3施設で、2027年3月までに計10例の実施が目標。1例目の手術は同病院で今年5月23日に行われ、通院で経過観察を続けている。