奈良県広域消防組合の葛城消防署(葛城市)で昨年9月、当時署長だった男性が部下に「悪いの清めたろ」などと塩を投げ付けたとして、組合の調査委員会がパワハラと認定したことが4日、関係者への取材で分かった。認定したのは今年春。部下の男性は7月28日付で県警高田署に暴行容疑などで刑事告訴した。
告訴状などによると、昨年9月、署員が救急業務で傷病者の保険証を一時紛失するトラブルが発生。部下の男性は当時副署長で、この件で責任ある立場だった。このトラブルを受け、元署長は署敷地内にお清めの塩をまいた。その際に「悪いの清めたろ」と言いながら、ほぼ真正面から男性に塩を投げ付けたという。
男性はその後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されるなど体調を崩し、昨年12月31日付で依願退職した。
男性は告訴状で、日常的なパワハラがあったと訴えたが、調査委は塩を投げ付けた行為のみをパワハラと認定した。組合は取材に、元署長を処分したと認めた上で「公表基準には至らない処分だった」と詳細は明らかにしなかった。