最低賃金の25年度改定では議論の終盤になって、赤沢亮正賃金向上担当相が水面下で大幅な引き上げを繰り返し求めたとされる。経営者と労働者の代表らが改定額の目安を決めるため、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会で詰めの議論をしていた最中だった。政府内では「前代未聞の政治介入」「禍根を残しかねない」との批判の声が出ている。

 複数の政府関係者らによると、赤沢氏は7月末、小委員会で議論されている引き上げ水準が不十分だとして、大幅アップへ調整するよう厚労省幹部に要求。6回目の小委員会が開かれた8月1日午前には、中小企業団体の役員らと非公式に面会した。この団体からは、職員が小委員会に委員として参加していた。

 最低賃金は法律に基づき(1)労働者の生計費(2)賃金(3)企業の支払い能力―の3要素を考慮して決める。

 政府関係者は「改定額の目安は3者が決めるものであって、閣僚ではない」と説明する。赤沢氏の動きに3者が反発し、議論は一時停滞したという。小委員会は44年ぶりとなる7回目にもつれ込んだ。