ニュースサイトを運営する福岡市の男性が21年に情報公開請求した事実を元衆院議員の秘書に漏らされたとして、福岡県田川市と大任町に損害賠償を求めた訴訟は7日、福岡地裁(島田英一郎裁判長)で和解が成立。市または町から漏えいした可能性が否定できないことを被告側が認め、今後情報管理を徹底する。男性は損害賠償請求を放棄した。
訴状によると、原告の中願寺純則氏は21年6月、二場公人市長(当時)や永原譲二町長の選挙運動費用収支報告書などの公開を市や町に請求。直後に当時衆院議員だった武田良太氏の秘書から、請求をなかったことにしてほしいという趣旨の電話があったとしている。中願寺氏は、首長か担当職員しか知り得ない情報だと主張していた。
記者会見した中願寺氏は「事実上の勝訴だ。情報公開制度の根幹を揺るがす事態で、自分たちの報道の使命が果たせなくなると思い提訴したが、戦って良かった」と話した。
田川市の村上卓哉市長は「情報漏えいを否定できない今回の事案は重く受け止めている。引き続き情報管理の徹底に努めたい」とのコメントを出した。