国土交通省は8日、分譲マンションで管理組合の役員などを選ぶ際に、候補者の本人確認を推奨する方針を固めた。大規模修繕工事を巡り、施工会社の従業員が住民になりすまして役員会合に参加し、利益誘導を狙う不正事案が起きたため。9月末にも、モデルとなる管理方法を定めた「標準管理規約」を改正する。
8日の有識者検討会で規約の改正案を提示。強制力はないが、大半の管理組合は標準規約にのっとって自らのマンション規約を定めている。
分譲マンションでは住民が管理組合を結成し、理事長や理事、専門委員らが運営に当たる。改正案では、これらの役員選出に関する条項を補う注釈を追加する。なりすましを防ぐためには「候補者の本人確認を適切に実施することが有効」と指摘。選出時に免許証やマイナンバーカードといった顔写真付きの証明書提示を求めるよう促している。
自治体関係者によると、神奈川県内で5月、住民の名前を名乗り、大規模修繕を議論する役員会合に出席する事案が発覚。千葉県でも、大規模修繕を巡って住民へのなりすましが発覚した。