長崎市で営まれた平和祈念式典で9日、小学生が市出身の歌手福山雅治さんの楽曲「クスノキ」を歌い、会場は温かい拍手に包まれた。爆心地の南東約800メートルにある山王神社の被爆クスノキがテーマで、爆風や黒い雨を浴びながらもたくましく生きる樹木の姿が歌詞になっている。
式典での児童合唱は2000年に始まり、爆心地に近い市立城山小と山里小が交互に担当。当時国民学校だった両校で犠牲になった多くの子どもたちをしのんだ歌を合唱してきた。
被爆80年に合わせて合唱することについて、市の提案を福山さんが快諾したという。両校合同で約100人が歌声を響かせた。
長崎市にあるサッカーJリーグ2部長崎の本拠地では、対札幌戦の前に観客が「クスノキ」を合唱した。その後、ピッチに福山さんが登場し「世の中はまだ戦争やさまざまな戦いがあるが、サッカーというスポーツで存分に戦える今この瞬間こそが平和だと言えると思う。さまざまな命がつながって今ここにいる。今日という一日を思いっきり楽しみましょう」と呼びかけた。