【ホノルル共同】米ハワイ州の真珠湾に係留されている戦艦ミズーリ記念館で12日、原爆の被害を伝える「原爆・平和展」が始まった。被爆80年の事業として広島、長崎両市などが共催した。開幕式典には広島で被爆した笠岡貞江さん(92)が出席し、原爆の惨禍を証言した。展示は来年2月28日まで。
展示されたのは、原爆の熱線で溶けて曲がったガラスの瓶や、広島に原爆が投下された8時15分で止まった時計、倒壊した浦上天主堂(長崎市)の信徒のロザリオなど、レプリカを含む20点以上。記念館のフランク・クレイ学芸員は甲板での式典で「展示資料は、同じことを再び起こしてはならないとのメッセージを発している」と紹介した。
笠岡さんは、原爆投下後に再会した父親は全身がやけどで真っ黒になって最初は誰か分からず、その後に世を去ったと振り返った。「1発の爆弾が夢や希望、未来を命と一緒に奪った」。約40分間、立ったままマイクを握りしめ、話を終えると出席した約100人が立ち上がって拍手した。