東京・永田町の自民党本部の看板

 自民党は今夏、衆院各委員会で恒例の海外視察への参加を自粛した。通常国会での野党との激しい対立を踏まえ、与野党連れ立っての視察は望ましくないと執行部が判断した。ただ党内からは、衆参両院で少数与党の苦境にある中「野党議員との貴重な交流の機会を放棄するものだ」(中堅)と不満の声が漏れる。

 衆院事務局によると、各委員会や審査会は毎年海外視察をしており、今年も10以上の予定がある。

 通常国会会期末には、ガソリン暫定税率の廃止法案を巡り与野党間の攻防が激化。野党は自民の衆院財務金融委員長を解任した。反発した自民の坂本哲志国対委員長は「地元活動重視」を名目に、衆院の海外視察を見送る方針とした。

 自民のある衆院委員長は「野党とけんかしたからボイコットするなんて、子供じみている」と批判。自民関係者は「少数与党下、野党との政策調整に影響しかねない」と懸念する。

 自民執行部は、参院では与野党の摩擦が少ないとして参院の海外視察は容認した。別の関係者は「衆院だけ駄目というのも、一貫性が全くない」と判断に疑問を呈した。