18日、火災が発生した大阪・道頓堀のビル。炎が壁を伝って燃え広がった(近隣店舗従業員提供)

 消防隊員2人が犠牲になった大阪市中央区の繁華街・道頓堀のビル火災から25日で1週間、出火当時の状況が次第に明らかになってきた。消防に詳しい専門家からは「外壁から拡大した異例なケース」との声も上がっており、府警や市消防局が原因究明を急いでいる。

 火災は18日午前に発生。府警や市によると、6階建てビル1階の室外機付近が激しく燃え、複数の装飾広告を介して延焼。隣接する7階建てビル5階の窓ガラスが割れ、中に燃え広がったとみられる。

 火災を目撃した男性は「先に6階建てのビルから火が上がり、隣接する7階建てビルに燃え移った」と当時を振り返る。

 「映像などを見る限りでは、今回のように外壁に取り付けてある広告などを伝って延焼拡大するという火災は『特異』と言える」。消防実務に詳しい佐藤康雄元東京消防庁警防部長が説明する。

 公益財団法人「市民防災研究所」の坂口隆夫理事は一気に延焼した原因について、「外壁の装飾広告の影響があった」と言及。壁面に沿って燃え広がることで「複数階が急激に延焼した珍しいケース」とみている。