田所孝二監督インタビュー最終回は岐阜第一でのベストゲームや思い出、岐阜県の高校野球の現状や今後、望むことなどを聞いた。

岐阜第一で10年指揮し、甲子園出場はなかったものの、ほぼ毎大会県ベスト4の強豪に育て上げた田所孝二監督

 ―岐阜第一でのベストゲームは。

 田所 鍛治舎巧さんの県岐阜商と2021年の秋季県大会の3位決定戦で当たり、延長十一回、1―0で勝った試合。

 向こうが最速140キロ超えの井上悠(亜細亜大)、うちが最速126キロの弘川泰暉(仏教大)で投げ勝った。最後は先頭の熊谷綺人が二塁打を放つと、申告敬遠と敵失で無死満塁。高橋翼がレフト前にサヨナラヒットを打った。選抜につながる秋の東海大会の出場をかけた試合だった。

 ―県岐阜商は高木翔斗(広島)が主将で春夏甲子園に出た後の新チーム。前年はコロナで夏、岐阜大会は中止、選抜も開催は中止だったが、出場は決まっていたので県岐阜商にとっては実質4季連続の甲子園が途切れた試合だった。

 田所 鍛治舎さんは、僕が高校野球指導者になる時に目指したフルスイングの野球を、枚方ボーイズですでにやっていた目標の人。岐阜にきて2年後の2018年に鍛治舎さんも母校の監督で来られてから、ずっと意識していた。

 鍛治舎さんとは、勝ったり負けたりで、2018年秋も東海大会出場をかけた3位決定戦で、佐々木泰(広島)が1年の県岐阜商に勝っている。この時は8―1のコールド勝ちだった。

 田所孝二(たどころ・こうじ) 1960年、福岡県小郡市生まれ。幼少期に兵庫県伊丹市に引っ越し、甲子園に近く、野球の熱量の高い土壌で野球を始め、小学5年の阪神優勝大会で甲子園の土を踏む。主に遊撃手で、中学で京都府福知山市に引っ越し、福知山高校、関大を経て社会人野球の日本新薬(京都)で活躍。33歳で退社し、1993年から2年間、青年海外協力隊として南米のグアテマラで過ごし、ラテン野球に接する。帰国後、96年に福知山商(現福知山成美)の教員となり、8月から監督。3年目の99年夏に初出場させてから春夏6度、甲子園に出場し、ベスト8が春夏各1度。島本浩也(阪神)、桑原将志(DeNA)ら多くのプロ野球選手を育てる。2014年から同校校長。16年4月、岐阜第一の監督に就任。春、秋の県大会で優勝各1回。甲子園出場はないが、ほぼ毎大会ベスト4以上の強豪に育てる。

 ―鍛治舎県岐阜商とは、公式戦では7度対戦して3勝4敗なんですね。

 田所 2023年の秋は1年生だった水野匠登で、決勝で逆転勝ちしている。準決勝で中京に勝って、決勝にいき、初回に3点取られたが、終盤に県岐阜商のエースの森厳徳(上武大)を打って4―3で逆転勝ちしている。...