前職は○○!転職で福祉の道へ

 福祉の仕事を始めるのに遅すぎることはありません。別の仕事をした後に縁あって福祉の道に飛び込み、新鮮な毎日を送っている方に話を伺いました。

前職では部品の生産管理をしていた大味さん(ひまわりの丘 関市)

 障害者支援施設「ひまわりの丘」を運営する県福祉事業団には10年前、39歳の時に就職しました。それまでは部品メーカーで生産管理の仕事をしており、数字に追われてばかりで人と接することはほとんどありませんでした。「人と接する仕事がしたい」と思っていたときに事業団の広告を見かけ、説明会に行ってみました。すると担当者がユーモアたっぷりに説明していて「年齢的にも新しいことを始めるチャンスなのでは」と転職を決めました。

利用者に今は何をする時間かを知らせるボードをセッティングする大味さん

 最初は、主に身体に障がいがある方が生活する陽光園に配属されました。車いすを触ったことすらなかったので、あれこれ考える暇もないほど必死になって仕事を覚え、介護福祉士国家資格も取りました。5年ほど働いたあとに、知的障がいがある利用者が生活するひまわりの丘に異動になり、「自分の意志で体を自由に動かせる利用者のケアはこれまでとは全然違う」と戸惑いましたが徐々に慣れていきました。

 現在は強度行動障がいの状態にある男性入所フロアを担当しています。今は何をしたらいいのか、次にどうしたらよいのかといった見通しを立てることが苦手な方が多いため、それを分かりやすく示す「構造化」という手法を用いて安心して生活できる環境を整えるお手伝いをしています。また、支援によって生活上の課題が改善したり、新たな経験を提供したことで楽しそうにしたりしているときはうれしくなります。こういった数字ではない成果を実感できる点がこの仕事の良いところ。私は40歳を前に始めましたが、福祉の仕事を始めるのに遅すぎることはありません。興味を持った方、数字に追われない仕事を探している方はぜひ一歩踏み出してください。