笠松に転入し3戦目のスティルアイライズ。1周目2番手から懸命にゴールを目指した        

 「まめちゃん推し」で笠松競馬場に駆け付けた全国のファンたち。応援する3歳牝馬スティルアイライズは小さな体で生まれたが、レースで奮闘する姿に「胸キュン」。ハートを射抜かれた女性たちが熱い声援を送った。

 中央ではしんがり負けも続き、今年3月に笠松転入。先頭から大きく離されても懸命の走りでゴールイン。無事完走する姿をわが子のように優しく見守り、感激して涙を流すファンもいた。

 ■連敗が続いても、地方競馬ではもう一つの生き方

 競走馬は勝利を目指すことが第一ではあるが、地方競馬ではもう一つの生き方もできるのでは。勝負に厳しい中央競馬とは違って、たとえ勝てなくても
ハルウララ(高知)のように100連敗以上しても、競馬場存続の救世主となったアイドルホースもいた。オーナーさんが愛馬のために預託料を払い続ければ、競走馬生活を続けられる温かさもあるのが地方競馬のいいところだ。

 スティルアイライズは笠松競馬場を舞台としたNHKの「ドキュメント72時間」にも登場した。昨年10月に中央でデビューし3戦とも大敗した後、笠松で移籍初戦を迎え、ヒロイン級の扱いを受けて注目を集めた。

新たなアイドルホースとして人気を集めている「まめちゃん」に騎乗した松本一心騎手

 ■小さな体で生まれたスティルアイライズ「それでも私は立ち上がる」

 まめちゃんはスティルアイライズの愛称。2023年1月9日、北海道の白井牧場で生まれた時の体重が約30キロで、通常の競走馬(50~60キロ)の半分近くしかない小さな体だったという。

 競走馬や仔馬たちの日常を配信するユーチューブチャンネル「仔馬カメラ」で誕生の瞬間などが伝えられ、共感を呼んだ。スティルアイライズという馬名は「それでも私は立ち上がる。小さくても競走馬になるのを諦めない」という思いが込められた。馬主は小阪優友(ゆうすけ)さん。JRAでは426キロでデビュー。東京、中山での芝、ダート戦を経て2カ月前、笠松に移籍。名門・川嶋弘吉厩舎に所属し、調教やレースに励む日々を続けている。

 在来馬のような体形で脚は速くないが、スタミナがあって穏やかな性格。父タニノフランケル、母スカーレットテイルという血統。ウオッカの孫であり、ダイワスカーレットのひ孫でもあり、ロマンあふれる良血。08年天皇賞・秋では、ウオッカ(武豊騎手)とダイワスカーレット(安藤勝己騎手)が激戦。長い写真判定の末、2センチ差でウオッカが勝利を飾った。父タニノフランケルの種牡馬入りでは、ラブミーチャンのオーナーでもある小林祥晃さんが後押しされた。

笠松デビュー戦で返し馬に向かうスティルアイライズ

 ■関東や北海道からも応援団が駆け付け、熱い視線

 笠松では新年度開幕日にデビュー戦を迎えた。主戦は松本一心騎手で8頭立て1400メートル戦。田口貫太騎手が勝ったJRA交流戦の一つ前の8R(3歳3組)。専門紙エースはスティルアイライズを「▲印」の単穴級として注目した。ただ笠松3歳戦は中央未勝利からの転入馬が多く、名古屋からの参戦馬もいて楽な相手ではなかった。

 この日の入場者は普段より多く1000人超え。スタンド前のラチ沿いはびっしりと「まめちゃん応援団」で埋まり、笠松デビューを果たした1頭の未勝利アイドルホースに熱い視線を注ぎ込んだ。笠松ではオマタセシマシタ、アオラキ、ハルオーブの時に似た光景でもあり、関東や北海道など全国からファンが詰め掛けた。返し馬では「こっち通ってくれたね」「松本一心騎手、ちゃんとファンサービス分かっているね」と歓迎の声も上がった。

 ■「掲示板」にあと一歩6着、「ドキュメント72時間」でも注目

 スティルアイライズは5番人気で、向正面では5番手を追走。ファンは「上がっていっているよね」と必死に食らい付く姿に胸をときめかせた。最後の直線、大外から追い上げていく姿勢を見せたが、伸び切れず6着でゴール。後ろから3頭目で「掲示板」(5着まで表示)には届かなかったが、一歩前進といえる内容だった。それでも騎乗した松本騎手は「ダメでしたね。ハナに行けなかったし」と厳しい見方だったが「まだこれからで、良くなっていけばいいですが」と成長を期待していた。

 「ドキュメント72時間」の撮影3日目、たまたま笠松デビュー戦に出走していたスティルアイライズ。そのファンの多さで取材陣の注目を浴びて、番組後半の主役となった。金曜日の夜に放送される人気番組で、ある意味「持っている馬」なのだろう。撮影初日は雨だったが、この日は晴れ上がってファンの姿も多かった。

笠松2戦目、積極策で1周目2番手につけたスティルアイライズ

 ■「雨の中、あの体で最後までよく頑張った」

 転入2走目は1カ月後で「ウマ娘シンデレラグレイ」コラボ開催中の最終日1R(3歳6組)。陣営は「ファンが多い馬だけに頑張ってほしい。もっと体重を増やしたいけど、食いがまだまだ」と手探りの状態。調教タイムは前走より速く、馬体重は「+3」の423キロで出走した。

 雨天で不良馬場。1Rでもあり初戦ほどではなかったが、パドック周回やレースのゴール前では熱心に声援を送るファンの姿が見られた。

2戦目は雨の中、まめちゃん応援団に見守られてゴールイン

 スティルアイライズは好ダッシュから積極策。1周目ゴール前では2番手をキープ。今回はメンコを外して「まめちゃん、きょうは前に行っているな」。先行有利な笠松では、前めのポジションから押し切る流れが勝利への近道。期待感を抱かせたが、3コーナーに向かって他馬がスパートを開始すると、その動きに対応できず。4コーナーを回ってインに入ったが、末脚を伸ばせず8着に終わった。

 ゴール前のファンからは「雨の中、あの体で最後までよく頑張った」という声が聞こえてきた。陣営では「メンコを外したら、前に行けた。初戦より感じは良かった。使いつつ粘りを増していければ」と成長力に期待を寄せた。

スマホなどを構え「まめちゃん、頑張れ」と声援を送るファンたち

 ■女性グループに密着取材「きょうの目標は1分34秒台」

 3走目は中11日での参戦。けがなどなく順調に使うことができた。毎月2回走って、自らの餌代などを稼ぎ出す必要がある地方馬としては優秀といえそうだ。

 1Rの1400メートル戦(3歳6組)、出走前に「まめちゃん推し」の女性グループを密着取材した。

 「ドキュメント72時間」にも登場され、名古屋から来たというリーダー的な女性にパドック周回の様子を聞くと「落ち着いていますね、いつものように。きょうの目標は1分34秒台で走ってくれることだそうです。33秒台が上位だろうから」。北海道から駆け付けたという女性の姿もあり「一口馬主のような会員制ではないが、(スティルアイライズの)個人オーナーさんのところにファンクラブがあって、そこで応援しています」という2人から熱い思いが伝わってきた。

 まめちゃんの日常や成長、挑戦を見守るファンクラブは「テイルズ(Tales)」という。「Taleは物語という意味で、母のスカーレットテイルから。オンラインサロンでの会員は600人ぐらい」と多くのファンが応援。過去の動画も配信されている。

返し馬でラチ沿いを進むスティルアイライズと松本一心騎手

 「まずは掲示板に入ってほしい。ぜひアイドルにしてあげてください」と期待も高まり、発走時間が近づいてきた。「笠松名物」でもある内馬場にあるパドックを出て、本馬場での返し馬に向かう各馬。スティルアイライズに騎乗して3戦目の松本一心騎手(父・剛志さんも笠松所属騎手)。「いちと、こっちへ来てくれ~」と声を掛けると、男性ファンも「まめちゃん、こっちへ来るよ」と注目し、既に涙ぐんでいる女性も。すぐに「まめちゃーん、頑張れ」の声援が飛んだ。ラチ沿いに寄ってくれたが「近すぎて写真を撮れなかった」というファンもいた。馬との距離が非常に近いことは笠松競馬場の魅力の一つである。

 ■「けがなくゴールしてほしい。引退するまで無事で」

 応援する会員さんは北海道から九州の大分など全国に。まめちゃんに一番願っていることを聞くと「とにかく無事にけがなくゴールしてほしいですね。引退するまで無事で」。現在の実力では勝つことは厳しいし、恵まれて3着があるかどうか。ただ笠松の調教師たちは敏腕だから、中央からここに来てガラリ一変しよく走るようになる馬もいる。まだ来たばかりだから分からないし、成長具合が問われることになる。

 「いまは体力的に恵まれていないことが問題かな。後ろ脚の方の力がどうかなと思うことがある。でも前はドタドタと走っていましたが、前に進むスタイルが良くなっている。今は『馬になりました』という感じですね」とファンたちは「保護者会」メンバーのように愛馬を見守っている。

スティルアイライズのパドック周回を見守るファンたち

 笠松は日本の真ん中にある競馬場で、遠くのファンにも来ていただきやすい。「北海道からも来やすい。中部国際空港から(名鉄電車で)1本で来られますから楽なんですよ。笠松へは3回目。アオラキが『最推し』で2回来ていて、まめちゃん応援では初めて」。遠方からもファンに来てもらえるのは、中央未勝利でも人気のあるアイドルホースのおかげでもある。脚抜きがいいコースで、競走馬のレベル的には成績を残しやすい笠松競馬場。白毛のアオラキが笠松で3勝したように、中央復帰を目指す未勝利馬の受け皿にもなっている。

 スティルアイライズの前走は1分36秒1。「笠松初戦がやや重で、次が田んぼのような不良馬場でした。きょうはやっと晴れて条件も違いますが、1分34秒台で走ってくれれば『花丸』ですね」と期待を寄せるファンたち。だが笠松のダートコースでは、良馬場だとタイムは重馬場に比べ1秒ほど遅くなる傾向があり、34秒台はちょっと厳しいかも。

 これほどまでに盛り上がってきた「まめちゃん人気」のきっかけとなったのは何なのか。

 馬券販売がネット時代で、ユーチューブなどでのライブ動画の配信も盛ん。父タニノフランケルの種付けのときから出産、成長の記録がドキュメントとして残っており、ファンクラブ会員としてオンラインサロンに登録し見守ってきたという。「72時間」の後半では、まめちゃん特集のようになっていたが、NHKの収録3日目、笠松8Rで「本当にたまたま取材を受けました」とのことだった。

3戦目の1周目、積極策で2番手を進むスティルアイライズ

 ■しんがりでも、ひたすらゴールを目指して懸命に駆け抜けた

 ここでファンファーレが鳴り響き、8頭立て7番人気でゲートオープン。スティルアイライズは好スタートから1周目ゴール前、2番手をキープ。向正面では必死に食らい付いていたが、3コーナーからややポジションが下がり懸命に追走。直線では「まめちゃーん」「頑張れ、頑張れ」と声援が飛んだが、3戦目も8着に終わった。タイムは1分35秒9で、リーディング渡辺竜也騎手騎乗の勝ち馬からは15馬身ほど離されていた。このためライブ映像ではゴールの瞬間が映されていなかった。それでもファンの応援を背に受けて、3歳牝馬はひたすらゴールを目指して懸命に駆け抜けていた。

 どんな競走馬もレースに出走するからには勝利を求められているが、地方競馬では未勝利のまま現役を長く続ける馬も数多い。ハルウララも410キロ台と小柄な牝馬だった。通算113連敗で「負け組の星」とも呼ばれ人気沸騰。昨年11月に29歳で天国に旅立ったが、地方馬では珍しく「ウマ娘」のキャラクターにもなった。最多連敗記録は牝馬ダンスセイバー(北海道)の229連敗。10歳まで8年間走り続けたが、2着3回で最後まで勝てなかった。まめちゃんは中央を含めてまだ6敗で、かわいい記録でもある。

笠松で2勝目を飾ったアオラキの返し馬。ラチ沿いを埋めたファンの視線にも応えていた

 注目のアイドルホースは笠松でも2戦続けて、しんがり負けに終わった。2番手からの積極的なレースで、ファンたちも「これは行くかなと思ったのに、最後…」と残念そう。「今回は『後ろから行くかも』と聞いていましたが。メンコは外していたし、ブリンカーもしていなかった」と作戦が少し意外だったようだ。「スティルアイライズが1歳の時にファンクラブができて(グループでの応援は)そこからですね」とゴール前には東京、埼玉や地元・岐阜のファンも多く駆け付けていた。

 「どういった魅力があって、皆さん応援しているのか」。メンバーに改めて聞くと「自分の孫か、親戚のおばちゃんくらいの気持ちかな。陣痛から始まって出産シーンなど(仔馬カメラで)ずっと撮ってあるんですよ。まめちゃんのことをたくさん見守ってくださる温かい方々がいらっしゃるから続けられている」と会員さん同士の絆も深いようだ。

 笠松では6年前に起きた一連の不祥事から8カ月もレース休止となり、有力馬が流出。一時は重賞を全く勝てなかった。そんなときにアイドルホースとして盛り上げてくれたのがオマタセシマシタやアオラキ、ハルオーブだった。ファンがラチ沿いをびっしりと埋め尽くした盛況ぶりは、まめちゃん以上だった。笠松ファンは熱狂的な方が多く、アイドルホースへの注目度も非常に高い。3歳馬スティルアイライズと20歳の松本一心騎手は今後の成長が期待される伸び盛りのヤングコンビといえる。

2022年、笠松に転入したレディアイコと後藤佑耶調教師(右)ら=円城寺厩舎

 ■オグリキャップの孫娘レディアイコはシングレ賞前に引退

 笠松には4年前、レディアイコというオグリキャップの孫娘がいた。岩手から移籍し2戦のみで、調教中に脚を骨折したため引退。ラストの一戦は馬体重が395キロしかなくて6着。芦毛馬で「ウマ娘シンデレラグレイ賞」にも出走予定だったが、夢をかなえられず陣営を残念がらせた。

 小さな体で繁殖牝馬にはなれず。現在は「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」(北海道日高町)で余生を過ごしており、癒やし系の人気馬にもなっている。今回、北海道から来たファンは「レディアイコには2回ほど会いに行き、ふれあいもしました」という。アイドルホースとして支援を受けられれば長生きもできる。「面倒を見てくれる人がいるなら、まめちゃんも無事なうちに引退してほしい」との思いも伝わってきた。

 次走については「ちょっと休んでほしいですね。体力がない子なんで体調を見て」と無理せずに走ってほしいと願うファンたち。笠松で長く走ってくれるといいが「テイルズはメンバーが必ず最後まで面倒を見るという会なので。(35歳で旅立った)ナイスネイチャのように長生きしてほしい」と、まめちゃんのサポーターとして活動を続けていくそうだ。

 競走馬は引退後のセカンドキャリアが問題となり、馬主さんやファンらのサポートを受けて天寿を全うできる馬は限られている。オグリキャップの長男オグリワンは30歳まで長生きしたが、引退後はファン有志で結成された「オグリワンの会」に引き取られて長野県の牧場で余生を送っていた。当時の預託料は月7万円でグループの女性ら10人ほどで支援され、誕生日には牧場を訪れ「ハッピーバースデー」のお祝いもしていた。

 ■秋になれば古馬C級戦に編入、条件緩和でチャンスも

 厳しい戦いが続くスティルアイライズだが、勝利への希望が持てる季節が来るかもしれない。笠松にはもうちょっと下のクラスもあるからだ。現在は3歳戦で中央から移籍してきた馬が多いが、秋(10月)になれば、未勝利馬は古馬C級戦に編入される。近走不振馬を集めたC級サバイバル選抜やC級未勝利戦もある。ワンランク下のクラスで走ることになり、対戦相手にさえ恵まれれば上位進出のチャンスも広がる。

 次走については「まめちゃん、疲れているかも。中央では1カ月ぐらい休んでいたから、しんどいんじゃない」という声もあったが、調教師の先生とオーナーさんの2人が相談して決めること。「結果はどうあれ、けがなく無事に走れていることが一番です。まめちゃん、めちゃ丈夫だし」「体高が低いだけで、ガッチリしているから」との声も。 

 成長具合については「最初は小さく生まれたが、体重などだんだん追い付いてきた。1歳になって離乳する時にはコロコロしてきて成長した」という。オープン馬で天皇賞・春にも挑んだメロディーレーンは330~360キロという小さな体で奮闘した。しんがり負けが続くスティルアイライズだが、何度でも立ち上がって、4戦目以降も頑張って走る姿を見せてくれることだろう。無事完走に駆け付けて見守ったファンの皆さん、遠方からもご来場ありがとうございます。「また応援お願いします!」と感謝の思いを伝えた。

 スタンドにも全国の熱いまめちゃんファンたちが集結。大阪、東京、神奈川から来場された女性グループも声援を送っていた。「頑張っていましたが、なかなかねえ。きょうは相手が強かったですね」。東スタンド最上部に横断幕を掲示して応援され、盛り上げていただいた。

 地元ファンもアイドルホースの笠松転入を歓迎。「まめちゃんの応援に来ましたが、びっくりです。地方競馬に移籍するとしても、まさか笠松に来てくれるとは思っていなくて、すごくうれしいです」。「笠松競馬場もにぎわって華やかになった。遠方からまた来てもらいたいし、これからも頑張ってほしい。まめちゃん、精いっぱいの努力でしたし、松本一心騎手が前へ行って見せ場をつくってくれたのはいいですね」と人馬一体での活躍を願っていた。

東スタンドにはスティルアイライズと騎乗した松本一心騎手の横断幕がズラリ並んでおり、掲示した応援団も撮影タイム

 ■松本一心騎手「横断幕は見えましたよ」

 スティルアイライズの主戦を務めている松本一心騎手にも聞いてみた。応援するファンの横断幕がいっぱい出ていたが、コースから「見えましたよ」とにこやか。何枚ぐらいだったかを聞くと「2、3枚?」との答え。「6枚だったよ」と伝えると「あー、本当ですか」と驚いた様子。「一心君のが3枚で、合計9枚とすごかったよ」と。横断幕をデザインされたファンも駆け付けて声援を送った。笠松では深沢杏花騎手の横断幕がずらりと並んだこともあったが、1頭の馬で6枚も並ぶとやはり壮観である。

 一心騎手に「ファンが多いから返し馬の時、ラチ沿いに来てくれるのか」と尋ねると「いやいや、おとなしいからです。うるさかったらすぐ右へ(第1コーナー方面)行きますよ」とのことだ。みんなファンサービスだと思って「こんなに近くに来てくれるんだ」と感激。すごく喜んでいるのは確かだ。

 ■「伸びず、ばてずで同じペースで走れる馬」

 3戦目を終えて、レースでの状態はどうだったのか。「まあ、前回よりは良かったです」。各馬のスイッチが入った向上面から3コーナー辺りで離されずに付いていけたのは収穫だった。

 2戦目と同じように2番手から行ったが、ファンは「もう少し後ろから行く作戦かも」と思っていたようだが。「後ろから行ってもなんもなかったんで、前に行こうかなと。(脚質は)伸びず、ばてずみたいな。同じペースで走れるんで、前へ行った方がいいのでは」とのことだった。

スティルアイライズの主戦・松本一心騎手。「無事に使えれば」と成長を願っている

 「秋になれば3歳戦から古馬C級戦に編入し、条件が緩和されて走りやすくなるので(調教から)頑張ってもらいたい」と伝えた。人気馬の主戦として川嶋調教師からは何か言われているのか。「いや特には。先生も別に期待はしていないんで」とのことだが、乗り続けていけば、秋になって成績が頭打ちの古馬たちと対戦でき、上位進出も可能。それにはいっぱい食べて体重を増やしてスタミナを強化していきたい。夏バテ防止や疲労回復には、笠松時代のオグリキャップも好物だったとみられる「にんにくみそ」などをぜひどうぞ。

 ■ファンが多く「無事に使えればいいかな」、秋には「まめチャンス到来」か

 松本一心騎手もNHKの「ドキュメント72時間」を見たそうで、今後のまめちゃんについては「勝ち負けとかでなくて、無事に使えればいいかな」と。まずは、けがをせずに元気に走り続けてくれることを期待していた。

 勝つことを第一に求められる競走馬として、夏場に成長力を発揮することができれば、掲示板や勝利のチャンスも見えてくる。先行策が圧倒的に有利な笠松の馬場。前に行く脚はあるのだから、あとは逃げ粘ることができれば、ゴールで押し切るシーンも期待できる。

 5月15日8Rでは、スティルアイライズを管理している川嶋弘吉調教師が地方競馬通算2600勝を達成した。カプア(牝4歳)に騎乗していたのが松本一心騎手で、3番手から3~4コーナーで先頭を奪い押し切った。理想的な展開で、まめちゃんもこんなレースができれば、上位進出が可能。川嶋調教師は重賞通算44勝。高崎時代にはタイガーロータリーなどで北関東ダービー3連覇の実績がある名伯楽であり、成績不振馬の再生にも手腕を発揮している。

 今夏も厳しい暑さが続きそうだが「夏は牝馬が強い」という傾向もあり、いっぱい食べてスタミナ強化。木曽川河畔にあって自然環境に恵まれたオグリキャップの聖地・笠松競馬場には、初夏の爽やかな風も吹き込んでくる。スティルアイライズの次走は6月以降になり、対戦相手に恵まれれば秋には「まめチャンス到来」の予感もある。ファンに背中を押されながら何度も立ち上がって、栄光のゴールを目指していきたい。


 ☆ファンの声を募集

 競馬コラム「オグリの里」への感想や要望などをお寄せください。  騎手や競走馬への応援の声などもお願いします。コラムで紹介していきます。
 (筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
 
 ☆最新刊「オグリの里5青春編」も好評発売中

 「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」「4挑戦編」に続く第5弾「青春編」では、笠松競馬場などでの「砂上の格闘技」で完全燃焼した人馬たちへの惜別の思いも込めた。巻頭はシンデレラグレイ賞&トークショーでのウマ娘ファンの熱狂ぶり、続いて日本競馬界最大のヒーローであるオグリキャップ、アオラキ&ハルオーブ、ストーミーワンダー、ハマちゃんなどを特集。

 林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、182ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、笠松町歴史未来館、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品。