夏らしい空が広がる一方、人もまばらな名鉄岐阜駅前の交差点=岐阜市神田町

 新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大する中で迎える、今年の盆休み。帰省をどうするか、無料通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる「岐阜新聞 あなた発!トクダネ取材班」が、登録者を対象にアンケートを実施したところ、「帰省しない」または「帰省者を受け入れない」との内容が約7割に上り、親族での集まりを見送るなどの意見が多数を占めた。一方、帰省予定の人たちも感染リスクを考慮し「車で日帰りする」「会食はしない」など、慎重に行動する姿勢を示した。

 アンケートは7~9日に実施し、81人が回答した。69%が「帰省しない」「帰省者を受け入れない」、15%が「帰省する」「帰省者を受け入れる」といった内容で、その他は「迷っている」などだった。

 「帰省しない」「帰省者を受け入れない」とする理由で多かったのは、自分が無症状の感染者かもしれないという疑念だ。岐阜市に実家がある横浜市の女性会社員(43)は「無症状で岐阜に帰って、両親にうつしてしまうかもしれないという恐怖がある」と吐露。高山市出身で東京都の女性会社員(53)は「自分が絶対に感染していないという確約はなく、帰れない」。各務原市出身で那覇市の主婦(40)は「祖母の初盆もあったが、お供えの花だけ頼んで帰省自体は諦めた」と嘆いた。

 県内の往来であっても慎重な意見が出た。郡上市の主婦(34)は岐阜市に住む妹に「帰ってこないで」と伝えた。毎年お盆に兄弟や子ども、孫が集まって先祖祭りとして食事会を開いていた美濃加茂市の60代主婦は「皆県内在住だが、集まらないと決まった。先祖もさみしいお盆」と寄せた。

 一方、帰省する場合にも感染防止には細心の注意を払うとの回答が多かった。岐阜市のパート女性(46)は、義母が住む長野県に中学1年の次女と帰省した。「1泊だけして長野でもあまり出歩かずに戻った。高速道路での休憩は大型のサービスエリアではなく小さなパーキングエリアに寄ったり、車内での休憩に変えたりして、なるべく集団に入らないよう心掛けた」と徹底して"密"を避けた。

 教育実習の関係で1日だけ高山市の実家に帰ることにしたのは、岐阜市の大学生(21)。「両親や友達とは顔を合わせず、とんぼ返りしようと考えている。長く滞在できないのが残念」

 大垣市の女性会社員(53)は、愛知県岡崎市からの妹家族4人の帰省を受け入れる。「感染者の多い地域ではないし、身内に医療従事者が2人いて感染対策はしっかりしている。帰省をやめてとは考えない」。岐阜市の男性(76)は「帰りたい人、帰りを心待ちにしている人のため、ウイルスを拡散させない対策を熟考して帰省すべきでは」と意見を寄せた。

 岐阜県では、古田肇知事が県民へのメッセージとして、お盆期間の帰省や旅行を慎重に判断するよう求めている。

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