岐阜新聞Web

  • 美濃
  • 飛騨
  • 美濃
  • 飛騨


教えてホームドクター

アトピー性皮膚炎

20年ぶり新たな外用薬 副作用出やすい部位の治療に



コレクチム軟膏
コレクチム軟膏

皮膚科医 藤井麻美氏

 今年の春、アトピー性皮膚炎に新しい外用薬(塗り薬)が登場しました。これまで内服薬でしかなかった成分を含む薬で、塗り薬としては約20年ぶりです。内服と比べて副作用が少ないことから、ステロイド、免疫抑制剤に次ぐ、第3の外用薬として期待されています。

 アトピー性皮膚炎の患者は日本に約50万人いるとされ、多くの人が慢性的に繰り返すかゆみに悩んでいらっしゃいます。まだ解明されていない部分も多いですが、患者に共通する特徴があることが分かってきました。

 一つはもともとアレルギーを起こしやすいという点、もう一つが皮膚のバリア機能が低下しやすい体質であることです。こうした体質の方にダニやハウスダストなどのアレルゲン、乾燥や汗などの外的刺激が加わると皮膚に炎症が起こります。

 炎症は白血球の中のリンパ球という細胞が活性化され、サイトカインと呼ばれる成分を産生して起きます。リンパ球は体内に入ってきたウイルスなどを排除する免疫に欠かせない存在ですが、アトピーの患者さんはこのリンパ球の働きが過剰になっていることが多いといわれています。

 今回ご紹介する「コレクチム軟膏(こう)」は、炎症を引き起こすサイトカインの産生をブロックする薬剤です。免疫の暴走にブレーキをかけて皮膚炎を治す効果が期待できます。

 過剰な状態の免疫反応を抑える目的では、従来のステロイド軟膏や免疫抑制剤の外用薬「プロトピック軟膏」も同じです。どの薬も免疫を抑えるため感染症に注意が必要です。

 ステロイド軟膏は効果が非常に期待できる薬ですので、今後も治療の基本であることに変わりはありません。ただステロイドには長期間使い続けると皮膚が薄くなったり、毛細血管が拡張したりするなどの副作用があり、顔や首など皮膚の薄い部位では使いにくいです。プロトピック軟膏にはこのような副作用はないため、顔や首などへの使用が勧められていますが、塗ったところがヒリヒリすることもあり、使用をためらう患者さんも多くいます。コレクチムにはこれらの副作用がないため、ステロイド軟膏やプロトピック軟膏で治療するのが難しい部位で効果を発揮することが期待されています。

 もちろん、コレクチム軟膏も万能ではありません。非常に強い炎症がある場合には、やはりステロイド軟膏の使用が欠かせません。また小児の患者さんや妊娠中、授乳中の方も使用できません。現時点では1日に使用できる量に制限があり、全身に皮膚炎がある方には十分な量とは言えません。こうした方は従来通り、体や手足はステロイド軟膏を使用した上で、副作用が出やすい部位にコレクチム軟膏を使うのがよさそうです。詳しくはかかりつけ医に相談してみてください。

(岐阜市民病院皮膚科医員)




過去の記事