九回表のマウンドに県岐阜商の小西彩翔投手(左)の背中をたたいて送り出すエース井上悠投手。投手陣の柱として互いに切磋琢磨してきた=28日午後0時18分、岐阜市長良福光、長良川球場

 「2人の力で甲子園で勝つ」-。28日の第104回全国高校野球選手権岐阜大会決勝で2年連続30度目の甲子園出場を決めた県岐阜商。優勝の原動力となったのはエースの井上悠投手と、小西彩翔投手の2人の3年生右腕だった。普段は仲の良い同じクラスの同級生だが、野球になると背番号「1」を争う良きライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)してきた。互いに「刺激をもらえる存在」と語る2人が決勝でも登板し、甲子園切符をたぐり寄せた。

 高校球児の憧れの舞台、甲子園のマウンドを先に経験したのは小西投手だった。昨夏の全国高校野球選手権大会で井上投手はベンチ入りしたが、登板機会はなかった。同じ学年の小西投手がマウンドで投げている様子を見て、「正直悔しかった」。井上投手は「絶対にここで投げたい」という強い思いを持ち続け、黙々と練習に取り組んできた。

 地道な練習は結果につながった。今では直球が147キロとチーム最速で、背番号1もつかみ取った。この成長は小西投手の存在があってこそだ。小西投手が自分よりも速い球を投げれば井上投手も「次は小西よりも速い球を投げる」と競って投球技術を磨いてきた。

 決勝の帝京大可児戦では、2人の継投リレーになった。2-1と1点リードの八回に先発の井上投手が5失点し、九回からは小西投手がマウンドへ。ブルペンで井上投手から「後は頼んだぞ」と言われ気持ちが燃えた。小西投手は「いつもは井上にチームを救ってもらっていた。きょうは自分の番」。3回を1安打無失点と相手打線を封じた。小西投手は「井上のために絶対抑えてやろうという気持ちが強かった」と振り返った。

 高校3年間クラスも同じで、互いのことは理解している。井上投手が「クラスのムードメーカー的存在」と小西投手のイメージを語れば、小西投手は「いつも笑顔」と井上投手の印象を挙げる。

 岐阜大会を制し、次は甲子園の夢舞台が待っている。小西投手は昨夏、明徳義塾(高知)戦で2番手として登板し、サヨナラ打を浴びた苦い経験がある。「甲子園の借りは甲子園で返したい。そのためにも井上と2人で勝ちにいきたい」と雪辱を誓った。