販売を開始した木曽ヒノキのククサ(右)。ナイフで表面を削って自分だけのククサに仕上げていく
製材過程で出る木曽ヒノキの端材を使った「ククサ」を紹介する熊澤康平さん=中津川市付知町

 丸サ熊澤製材所(岐阜県中津川市付知町)は、木曽ヒノキの端材を使ったマグカップ「ククサ」の製作キットを開発し、自社オンラインショップで販売を始めた。新しい層をターゲットに、木目が詰まった木曽ヒノキの魅力を発信していく。

 同社は1950年創業の製材店で、岐阜、長野県境の国有林から産出される木曽ヒノキを専門に製材している。割れや反りに強く木目が美しい柾目(まさめ)材は、神棚やヒノキ風呂の材料に使われており、木工産業が盛んな地域を支えている。

 「キャンプを趣味にしていて、端材を使ったキャンプ用品ができたらなと考えていた」と話すのは4代目の熊澤康平さん(35)。製材で出る端材は木材チップ業者などに売るだけで有効な使い道がなく、活用法を探る中で、北欧の伝統的なマグカップ「ククサ」に目を付けた。ククサはシラカバのこぶをくり抜いて作られており、能面や仏像の彫刻に使われる木曽ヒノキは加工に最適だと考えた。

 製造は地元の木工業者に依頼した。端材の寸法に合わせて、マグカップの形が分かる程度に仕上げた。ブランド名は、木曽ヒノキを「官材(かんざい)」と呼ぶことにちなんで「KANZAI PRODUCTS(カンザイ プロダクツ)」とした。5月に地元であったイベント「森林(もり)の市」で販売すると大勢の人が買い求めた。熊澤さんは「自作用のククサを探している人が多く、作った人からはヒノキの香りが良いと喜んでもらえた」と手応えをつかんだ。

 今月からオンラインショップを立ち上げた。通常サイズは4620円、一回り小さいサイズは3960円で、蜜蝋(ろう)と紙やすりが付くキットも用意した。県内では唯一の木曽ヒノキ専業製材店の新しい挑戦だ。

 熊澤さんは「キャンプが好きな人や若者層に木曽ヒノキの良さを知ってもらえるとうれしい。たき火を楽しみながら、自分だけのククサを作ってほしい」と願いを込める。