無謀な運転や高齢ドライバーの暴走車が引き起こした悲惨な交通事故を伝える新聞

 県NIEアドバイザー 川辺町立川辺中教諭 細江隆一

 長年お世話になった中学校から異動となり、4月から新しい中学校へ赴任となった。「心機一転」のつもりで、NIEにも取り組んでいきたいと考えている。

 「図書主任」の校務分掌をいただいたので、図書室をのぞいてみると、新聞ラックには「岐阜新聞」が掛けられている。聞けば、文化委員の生徒が毎朝入れ替えていると言う。生徒が中心となり、図書室を管理している点に感心している。

 さて、現在2、3年生の国語を担当している。授業に入って1カ月がたち、慣れたこともあり、生徒に「新聞を毎日読んでいる人」と聞いてみた。手はほとんど挙がらなかった。ただ、「新聞を自宅で購読している人」と聞けば、半数以上が手を挙げた。ここから推測できるのは、「新聞を読む環境はあるが、それを読む意識はまだまだ」ということだろう。これからのNIEでどう生徒が変容するかが楽しみになった。

 3年生では毎年「青少年の主張大会」があることもあり、原稿用紙4枚で作文を書く。今年はオリエンテーション用にプリントを作成した。4月のアンケートで「書くのが苦手」と書いた生徒が多めという実情から考え、五つのテーマ例も載せた。

 ①身近な話題(将来の夢、受験制度、働き方改革、部活動、人権問題など)②スポーツの話題(イチロー選手の引退、池江選手の白血病告白、タイガー・ウッズ選手の復活、大谷選手の復帰、東京五輪など)③文化的な話題(eスポーツ、スマート・スピーカー、「嵐」活動休止宣言など)④社会的な話題(高齢ドライバーによる事故、自動運転車の開発、若者やお年寄りをターゲットにした詐欺、東日本大震災からの復興など)⑤国際的な話題(北朝鮮のミサイル発射問題、地球温暖化問題、スリランカにおけるテロ事件など)-。

 生徒が最も関心を寄せたのは、「高齢ドライバーによる事故」をはじめとする自動車事故だった。これは、テレビや新聞で連日報道されることが要因だろう。新聞は読まなくても、スマホやテレビで社会的な事件には興味・関心を持っていることがわかる。

 もっとも、「あらかじめテーマを決めさせ、それに関する情報を調べてほしい」と伝えると、何人かは新聞を持参してきた。その新聞を仲間で回し読み、テーマについて話し合う姿もあった。おそらく各新聞社の記事の比較(同じ記事での見出し、リード、キャプション、本文の違い)を行えば、もっと新聞に興味を持ってくれるに違いないと、その姿を見ながら考えた。

 NIEの重要性は、学習指導要領に新聞活用が明示され、教科書にも関連教材があることからもわかる。新聞を活用した「主体的・対話的で、深い学び」の授業ができれば、生徒も確かな力を身に付けることができるだろう。現在、それを目標に、日々模索している最中である