親子で完成した「豚コレラ」の新聞切り抜き作品
楽しみながら関連記事を探して切り抜く

県NIEアドバイザー・美濃加茂市立西中教諭 細江隆一

 2019年の冬休みも、親子で模造紙を使った新聞の切り抜き作品に挑戦してみた。テーマは「豚(とん)コレラ」。18年に県内で発生、話題になっているテーマであり、わが子2人も関心を持っていた。

 18年9月からの新聞を調べ、「豚コレラ」に関する記事を全て切り抜いた。大きな見出しの記事から、社会面の小さな記事まで切り抜くと膨大な量だった。

 それらをグルーピングする段階で迷った。「豚コレラ」の発生した時系列で追うべきか。「県の対応」「畜産者の嘆き」「職員の疲労困憊(ぱい)」など、各項目を起こし、グルーピングすべきか。愛知県でも発生したので「岐阜県」「愛知県」を対にするべきか。あれやこれやと迷い、収集した記事も眺めながら、最終的には各項目を起こしたグルーピングに決めた。

 グルーピングをした後、一つ一つ記事を読み、大事だと思う箇所にマーカーで色を付けた。その段階で気付いたのは、「豚コレラ」の急激な拡大とその対応に四苦八苦する市や県職員の大変さ。1例目の、岐阜市の養豚場で発生したのが9月。それ以降、同市畜産センター(11月)、美濃加茂市の県畜産研究所(12月4日)、可児市の県農業大学校(15日)、関市の養豚場(25日)と、立て続けに発生している。

 これに対し、県も手を打たなかったわけではない。「豚コレラ」が発生するたびに対策を練り、感染の拡大防止に努めてきた。なのに、拡大はいまだに収まっていない。原因は不明なのだ。「豚コレラ」発生を伝えるある記事にも、職員の声として「どうして感染したか分からない」とあった。私はてっきり対策の遅れや不備が拡大につながっていると思い込んでいた。「豚コレラ」に関する記事を詳細に読んだからこそ、分かった事実だった。

 模造紙には、項目ごとのエリアを作り、そこに記事を貼り、レイアウトを考えた。記事に対する感想や意見も書いた。タイトルも子どもたちと工夫した。残念ながらスペースの関係でボツにした記事もあったが、完成した時の喜びと達成感は何物にも代えがたいものがあった。

 毎日届く新聞に目を通すだけでなく、あるテーマを設定し、それを報道する記事を集めて読むと、詳細な事実が分かる。新聞の切り抜き作品を制作するたびにそれを実感する。また、親子で制作をすると、子どもたちに深い学びが得られるだけでなく、親子のコミュニケーションが図れるメリットもある。制作にはかなりの時間と手間を要するデメリットもあるが、それを上回るだけの価値はあると思う。模造紙が大きすぎるなら、その半分の大きさでも良いし、画用紙大でも良い。春休み、夏休み、冬休みを利用して、親子で新聞の切り抜き作品に挑戦してみてはどうだろう。