作文の題材になった「北朝鮮情勢」「福島原発避難者のいじめ」に関する記事=岐阜新聞から
生徒たちが書いた作文の原稿

県NIEアドバイザー・細江隆一美濃加茂市立西中教諭

 毎年6月に「少年の主張大会」が開催される。美濃加茂市の大会があり、次に地区大会、県大会、全国大会とつながっている。わが校では毎年3年生が出場しており、今年もゴールデンウイークの宿題として作文を出した。私ともう一人の先生で生徒約230人の作文の中から二つを選ぶことになる。

 昨年の3年生に同じ作文を書かせたとき、もっとも多かったテーマは「熊本地震」だった。その頃は発生から間もなく、マスコミの報道も多かったからだろう。「東日本大震災」とも比較し、地震発生後の自治体の対応や自分にできる備えなどについて記述した生徒がたくさんいた。

 今年、もっとも多かったテーマは「夢」だった。学年の目標が「夢現(むげん)」であるし、6月に行う東京研修の目標も「夢」だからだろう。さらに、自分にもっとも近いテーマであることも理由に違いない。夢の内容、それを考えたきっかけ、実現のために自分が行っていることやしなければならないことなど。生徒一人一人の夢は皆違うので、読んでいても楽しかった。

 一方で、深刻なテーマに切り込んだ作品もあった。例えば「フクシマ」のいじめ問題だ。福島ナンバーの車に対する嫌がらせ。また、福島県から転校した子どもたちへのいじめ。そこから自分が見た、体験した「いじめ」「からかい」に対する意見や提言など。読んでいて胸が痛くなるような内容もあった。

 北朝鮮の脅威をテーマに書いた生徒もいた。ちょうどアメリカの原子力空母カール・ビンソンが朝鮮半島付近に向かっているころだったからだろう。ミサイル発射や他国への強硬姿勢など、今までの北朝鮮の横暴をマスコミを通じて知っている生徒は「北朝鮮とアメリカが開戦となった場合、日本も免れないだろう」と書いた。

 昨今、若者はニュースへの関心が薄いと言われるが、そんなことはないと思っている。現に中学生は新聞やテレビを通じてニュースを知り、自分の意見を持って提言ができる。それを堂々と発表する生徒を私は少年の主張大会で毎年目にしてきた。北朝鮮やテロ事件など国際情勢がますます緊迫化しているからこそ、新聞やテレビなどマスコミの担う役割はますます重要となっている。私はそれを生徒の書いた作文から教えられた気がしている。