従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する「健康経営」に取り組む企業が県内でも増えてきています。

 「ぎふ健康づくり応援プロジェクト」では、健康経営に積極的に取り組む企業をシリーズで紹介していきます。

2021年7月27日 掲載


地域の販売店として健康経営を促進、従業員が働きやすい環境を整える

 経済産業省の健康経営優良法人(ホワイト500)に、2年連続で認定されるなど健康経営に力を入れている。3年前に行われた岐阜県ホンダ会の集まりで、健康経営の必要性について話し合ったことが力を入れるきっかけの一つとなった。池戸美也管理本部長は「長年、西濃地域に根差した販売店として従業員がお客さまに寄り添うコミュニケーションを取ってきたことで培われたノウハウが、健康経営を実践する土台になっていると感じる」と話す。

 健康経営の一環として年次有給休暇の取得を促し、取得日を以前の100日から105日に増やした。「(店舗スタッフは)土日出勤が当たり前という状態。そういう中でも気持ちよく働ける職場にしたい」と池戸本部長は言い、有休を取得しやすい環境を整備する。

 インフルエンザ予防接種を職場で受けられる体制をつくり、費用も会社が全額負担している。業務前にはラジオ体操を行うなど、従業員の健康促進を図る。そのほかにも従業員に健康に関するアンケートを取り、調査結果を今後の健康経営に反映させることで従業員の健康向上を図っていく。

 今川喜章社長は「お客さんの満足度を上げることが自分たちの仕事では大切で、そのためには従業員一人一人が自分を大切にしないといけない。それが健康経営にも結果としてつながっていく」と話し、これからも従業員が健康に働ける職場づくりに精力的に取り組んでいく。



お互いの健康を気遣う職場、各自の健康管理を尊重

 建設業界では、数年前から災害時の対応を話し合う機会が増え、会社のBCP(事業継続計画)を作成したことをきっかけに健康経営にも注力するようになった。おかげで経済産業省の「健康経営優良法人2021」に認定された。高橋厚生社長は「自分たちの続けてきた活動が認めてもらえた」と実感している。

 健康経営の一環として、まず着手したのが有給休暇取得の促進だ。社員が休暇を申請しやすいように、理由に関係なく休暇を取得できるようにした。その結果、有休取得率は8割近くまで上昇し、社員が休みを利用して家族と楽しく過ごす時間ができたり、地域活動に積極的に参加することができている。

 また、日頃から社員同士で健康状態を把握する意識を持つようにしている。「本人が『大丈夫だ』と言っても体調が悪そうであれば休むように促している。そのおかげで実際に事故を防げたケースもあった」と高橋社長は言う。責任感から自分の体調不良を言い出せない従業員の心情を思いやることで、より円滑に仕事を進められる環境を整える。

 従業員の健康を気遣うことを大事にしつつも、高橋社長は「会社側から『健康のためにしなさい』と強制はしない。各従業員に合った健康管理をしてくれれば」と話す。「これからも健康のための制度化やシステム化よりも、お互いの健康に配慮し合える職場環境を築きたい」と意気込み、従業員一人一人の意思を尊重した健康経営を進めていく。



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