1世帯当たりの柿の消費支出額は、岐阜市が全国1位。7日に発表された全国の都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市を対象にした2022年の総務省家計調査の結果だ。岐阜市は21年2位だったが、20年も1位。22年までの10年間では5回トップになっている。確かに柿は岐阜県の名産品。しかし収穫量は全国トップではない。しかも記者の周囲で聞いてみると「柿を自分で買って食べることはあまりない」との答えが多い。肌感覚では皆が買って食べているわけではないのに、消費支出額が高いのはなぜか。理由を探ってみると、贈答用として購入するケースが多いことが浮かんできた。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」 岐阜市の1世帯当たりの柿の消費支出額は2852円。2位は甲府市の1485円で、ほぼ2倍の金額になる。全国平均は881円だ。収穫量で見ると、21年の農林水産省の調査ではトップは和歌山県の3万9700トンで、次いで奈良県の2万8300トン、福岡県1万5800トンと続く。岐阜県は1万2600トンで4位。収穫量からは岐阜市の消費支出額が多い説明にはならない。
岐阜市民はなぜ柿を買うのか。岐阜市の隣、本巣市の生産農家を訪ねてみた。富有柿発祥の地、瑞穂市にも隣接し、柿農園が集積している。その1軒、丸金青果=本巣市上保=社長の太田義浩さん(60)は「贈答用がその理由」と指摘する。
岐阜県でメインに育てている富有柿の収穫のピークは11月で、すぐに12月のお歳暮の季節になる。しかし岐阜県では柿を贈り、さらに同じ人に柿とは別にお歳暮も贈る文化があるという。
柿といっても、1個300~400円の高級品から10円、20円といった安価なものまで幅広い。安価なものは自宅で食べ、中級品は親戚など気心の知れた人に贈る。そして高級品はお歳暮の前でも大切な人に贈る。安価なものだけでなく、贈答用に中級品や高級品を購入するから消費支出額は上がる。同じ本巣市のある柿農家は「うちの柿の7割くらいが進物用になっている」と話す。
岐阜女子大非常勤講師で、果樹園芸学が専門で主に柿を研究している今井敬潤さん(73)=瑞穂市野白新田=は、同じ家計調査で柿の購入数量が1980年以前には岐阜市が上位には入るものの1位ではないことに着目。宅配便が普及した85年くらいから1位になることから「日持ちしない柿でも宅配便の普及で気軽に贈答用にできるようになり、1位の座を占めるようになった」と推察する。
今井さんは「岐阜には柿の歴史があり、柿の文化の地域。岐阜の人の柿に対する思いは強い。収穫量は多くても新興産地の福岡県などでは、柿を贈る文化はあまり見られない」という。思い入れのある柿を贈りあう文化と宅配便の発達が、柿の購入額を全国1位にしたと言えそうだ。












