日本三大山城の一つである岩村城=恵那市岩村町
昨年11月の世界ラリー選手権の様子=恵那市内

 2018年に放映されたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で岩村城下町などがロケ地となり、脚光を浴びた岐阜県恵那市は、観光資源が豊富なまちだ。景勝地の恵那峡、日本の棚田百選に選ばれた坂折棚田、東京五輪カヌー競技のポーランド代表チームが事前キャンプをした笠置峡と、魅力的な観光スポットがあり、秋の栗きんとんの季節を中心に年間約370万~400万人が訪れる。新型コロナウイルスの影響で20年は4万人余まで減少したが、コロナ禍からの本格回復を見据え、市は新たな観光需要の掘り起こしに動いている。

無料クイズで毎日脳トレ!入口はこちら

 着目したのが、コロナ禍でブームとなったアウトドアだ。グランピングと呼ばれる豪華なキャンプ場「根の上アウトドアパーク恵那保古グランピング」を中津川市境の根の上高原に整備し、昨年4月にオープンした。根の上高原は標高が高く、森と湖に囲まれ、空気が澄んでいることから自然体験の場としては最適だ。10棟のドーム型テントや、シャワーやトイレを完備した管理棟、ウッドデッキのほか、8カ所のたき火エリアを設けた。

 昨年度は約3千人が利用した。今年も3月にオープンし、12月末までに昨年と同数の利用者を見込んでいる。施設の立ち上げから携わってきた恵那市観光交流課の大島聡さんは、「リピーターの人にも楽しんでもらえるように、高原の散策や星空観察といった自然体験を売りに、今後は日帰りプランも考えたい」と話す。市内には、市の施設だけでほかに7カ所のキャンプ場があり、アウトドアを観光の魅力として売り込む考えだ。

 アウトドアに加え、恵那市が観光の目玉とすべく力を注いでいるのが、自動車競技の世界ラリー選手権(WRC)だ。恵那市は昨年11月、隣接する愛知県とともに日本ラウンドの会場となった。タイムを競うスペシャルステージ(SS)では有料観戦エリア2カ所で約2千人、SSの間をつなぐ移動区間のリエゾンでは約1万8千人が観戦した。

 今年から3年間は愛知県豊田市が主催者となり、恵那市は運営主体として関わる。今年はインバウンド(訪日客)の回復を想定し、昨年販売したグランピング施設やキャンプ場の宿泊と観戦をセットにした旅行プランを増やす計画だ。ラリーまちづくり課の小原朱音さんは「大会ロゴを活用した菓子やポロシャツなどの商品も開発していく。大会開催で市内の経済効果を高めたい」と意気込む。

 5月8日の新型コロナの5類移行を前に、恵那市でも観光客が戻りつつある。日本三大山城で、日本百名城にも選ばれている岩村城は、本丸の北東面に、ひな壇に築かれた石垣が残る人気スポットで、織田信長の叔母で城主の「おつや」が善政を敷いたことから「女城主の里」と呼ばれる。

 岩村振興事務所の近藤明浩さんは「コロナ禍で岩村城を登る人は減ったが、昨年10月に全国山城サミットが開かれたこともあり、客足は戻ってきている」と実感する。

 アウトドア、WRCという新たな魅力が加わった恵那市が、コロナ禍前よりも多くの観光客でにぎわう日はそう遠くなさそうだ。