イチゴ狩りを楽しむ小1の頃の高田明浩さん(左)と浩史さん=関市大杉、ふる里農園美の関

 「今年は何個食べられるかな」。息子の明浩が小学生のときは、家族で毎年、イチゴ狩りに行き、私と息子は、どれだけの数を食べられるか、競争していました。息子の最高記録は、6年生のときの70個です。そのときは、さすがに食べ過ぎで、帰りにトイレに行きたくなるなど大変でしたが、それも懐かしい思い出です。

 回転寿司(ずし)へ行くときも、どちらがたくさん食べられるか、よく競争していました。私は10皿くらいが限界で、息子が高学年になると、全くかなわなくなりました。

 奨励会の先輩とも、ご飯お代わり自由の定食屋さんで、よく競争していたようです。先輩が「今日もたくさん食べるぞ」と話し、3、4杯食べることが多かったそうですが、そんな話をいつも楽しそうにしていました。

 わが家に関東奨励会所属の友人が何度か来たときは、サラダバイキングで何杯食べられるかを競い、2人とも10杯ほど食べて驚いたこともありました。

 同学年の藤井聡太さん(現八冠)と、カレー屋さんで、どちらがたくさんご飯を食べられるか競うこともよくあったそうです。息子がご飯のグラム数を増やすと、藤井八冠も対抗して増やすので、「藤井君には、ご飯の量でも勝てない」とこぼしていたのも、懐かしい思い出です。

 息子は、ご飯の量だけでなく、どんなことも、人と競って楽しむのが大好きでした。私とは、競走をしたり、ジャンケンの七番勝負をしたり、卓球やエアーホッケー、オセロなどをしたり、さまざまなことで勝負をしていました。

 息子は、どんな遊びも、楽しく友達と競い合うことで上達しました。そんな経験が、将棋にも生きたのだと思います。

 私はけん玉大会やお手玉大会、将棋大会など、さまざまな大会を教室で開いています。大会で活躍するのは、競争するのが好きで、負けん気の強い子です。そういう子は、どんなことも、人に勝ちたいという思いで努力するので、けん玉やお手玉だけでなく、作文の上達も早いです。

 今の学校教育では、順位を付けない傾向が強いですが、何事も、上達するには、人に勝ちたいという気持ちが大切だと思います。もちろん、順位という結果より、努力する過程の方が大切なので、私はいつも、子どもたちの努力を褒めるようにしています。

 息子は勝負が大好きですが、結果にこだわるタイプではありません。結果にこだわらず、競争すること自体を楽しむ息子の姿勢は、見習う部分が多いのかなと感じています。

(「文聞分」主宰・高田浩史)