森一門祝賀会で指導対局する高田明浩さんと、見守る両親。師匠の森信雄さんが撮影した=2022年5月4日、大阪市内のホテル

 2022年4月4日、息子明浩のプロ入り2年目は、竜王戦6組ランキング戦5回戦から始まりました。対戦相手の渡辺和史五段(現七段)は前年度、歴代7位タイの20連勝を記録しており、厳しい相手でしたが、息子は四間飛車で勝利しました。4月26日の準決勝も四間飛車で勝ち、5組への昇級を決めました。

 その後、5月19日に迎えた決勝戦は、同学年の伊藤匠五段(現叡王)との対局でした。息子は三間飛車で戦いましたが、伊藤五段は非常に強く、完敗しました。ライブ中継で見ているのもつらい対局でしたが、決勝まで勝ち上がれたのはすごいなと感じました。

 それに先立つ5月4日には、森一門祝賀会がありました。森一門祝賀会とは、師匠の森信雄先生が、弟子のプロ入りや昇段を祝うイベントです。22年度はコロナ禍のため3年ぶりの開催でした。

 祝賀対象者の親族は、森先生から招待されます。前年度にプロ入りした息子も祝賀対象者の一人でしたので、私は妻と参加しました。当日は、森先生ご夫妻が満面の笑みで出迎えてくださり、息子が指導対局をしている場で写真も撮ってくださいました。

 一門祝賀会は、森先生のあいさつから始まります。その後は、コース料理を食べながら、山崎隆之八段(現九段)と糸谷哲郎八段によるトークコーナー、森先生のピアノ動画上映、祝賀対象者への花束贈呈、記念撮影、祝賀対象者が用意したプレゼントが参加者に抽選で渡されるお楽しみ抽選会、祝賀対象者同士の席上対局と、盛りだくさんの内容がありました。

 息子は、兄弟子の石川優太四段(現五段)と席上対局をしました。1手10秒の予定でしたが、息子の「5秒もいらないです」との発言から1手5秒に変更され、手に汗握る対局が繰り広げられました。息子は対局に負けた後、「敗因は、『5秒もいらない』と言ってしまったことです」と話し、笑いが起きていました。

 森一門祝賀会は、ホテルの大きな会場を使用し、数百人が参加する大規模なイベントです。毎年、早い時期に日程を決め、ファンの皆さんへのご連絡や会場との打ち合わせ、プログラムの準備など、さまざまな作業を自らなさっている森先生には、頭が下がります。

 私自身も、「文聞分」の生徒の志望校合格、コンクール入賞、部活での活躍などの際、お手紙を書いたり、ケーキを作ったり、たこ焼きパーティーをしたりして、ささやかですがお祝いをしています。教え子が努力の末、活躍する姿は、自分のこと以上にうれしく、心に残るものです。

 息子にとっても、森一門祝賀会で祝賀対象者になることは、毎年の目標になっているようです。これからも、森先生の温かい応援を励みにして、頑張ってほしいと思います。

(「文聞分」主宰・高田浩史)

=随時掲載、題字は高田明浩五段=